ウォーキングが実は何千年もの歴史を持ち、古代から現代まで人々の生活と密接に関わってきたことをご存じでしょうか。
本記事では、ウォーキングの起源から発展までを時代ごとに振り返り、その奥深さと魅力に迫ります。

ウォーキングは人類最古の移動手段
ウォーキングは単なる運動ではなく、人類が誕生して以来欠かせない移動手段でした。人類が二足歩行を始めたのは約400~700万年前とされています。それまでの霊長類は木の上で生活していましたが、アフリカのサバンナ地帯で樹木が減少し、広大な草原を移動する必要に迫られたことで、徐々に直立歩行へと進化したと考えられています。
二足歩行の利点は、両手が自由に使えることです。これにより、道具を持ったり獲物を運んだりできるようになり、狩猟採集生活がより効率的になりました。こうしてウォーキングは、人類が生き延びるために不可欠な行動として定着していったのです。


古代~中世:ウォーキングと生活の関わり
狩猟採集時代:生存のための長距離歩行
約2万年前の人類は、食料を求めて日々長距離を移動していました。狩猟採集民は1日に平均15~20km歩いていたと言われています。現在のウォーキングと比べると桁違いの距離ですが、それが生きるためには当たり前だったのです。
古代ギリシャ・ローマ:歩行とスポーツ文化
古代ギリシャでは、徒歩競技がスポーツの一種として親しまれていました。オリンピック発祥以前から「徒歩競争」が行われており、一定距離をいかに速く歩くかが競われました。
また、ローマ帝国では歩兵による行軍が戦略上重要でした。ローマ軍は1日に約30kmの行軍をこなし、長距離を歩く訓練を日常的に行っていたとされています。
中世ヨーロッパ:巡礼と旅の歩行文化
中世になると、ウォーキングは信仰と結びつきます。ヨーロッパでは宗教的な巡礼が盛んになり、多くの人々が徒歩で聖地を目指しました。代表的な巡礼路には、現在も続く「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」(スペイン)があり、総距離は約800kmにも及びます。
また、中世の商人や旅人は馬車や船が使えない場合、徒歩で長距離を移動していました。この時代は交通手段が限られていたため、ウォーキングは日常生活の一部だったのです。


近代:ウォーキングのスポーツ化と健康法への進化
ペデストリアニズム:19世紀イギリスでの競歩ブーム
18~19世紀のイギリスでは「ペデストリアニズム(Pedestrianism)」と呼ばれる競歩が大流行しました。これは、決められた距離や時間内でどれだけ長く歩けるかを競う競技です。
有名な競技者はエドワード・ペイズリー・ウェストンで、彼は1日に約160kmを歩く記録を打ち立てました。観客が賭けを行い、競歩イベントは一大エンターテインメントとなりました。
健康法としてのウォーキング
19世紀になると、ウォーキングは徐々に健康維持の手段として認識され始めます。イギリスの医師ウィリアム・ウィザリングは「毎日の歩行が健康維持に効果的」と提唱し、ウォーキングが医療や健康法の一環として普及しました。

現代:ウォーキング文化の発展と多様化
健康志向とウォーキングブーム
20世紀後半になると、生活習慣病予防やフィットネスの一環としてウォーキングが再び脚光を浴びます。特に1970年代のアメリカで起きたフィットネスブームにより、ジョギングやウォーキングが流行。これが世界中に広まり、今では多くの国でウォーキングイベントが開催されています。
ノルディックウォーキングとポールウォーキングの普及
1990年代にフィンランドで誕生したノルディックウォーキングは、専用ポールを使用することで全身運動に発展しました。通常のウォーキングに比べて消費カロリーが約20%増加すると言われ、ダイエットや体力維持に人気があります。
また、日本では登山用ポールを使ったポールウォーキングが普及し、高齢者を中心に健康促進のために実践されています。
デジタル化とウォーキング
近年では、スマートウォッチやスマートフォンのアプリで歩数や消費カロリーを簡単に記録できるようになりました。Apple WatchやGarminなどのウェアラブルデバイスは、歩行距離やペース、心拍数をリアルタイムで計測できるため、ウォーキングをより楽しめるようになっています。
まとめ:ウォーキングは時代を超えて続くライフスタイル
ウォーキングは、人類の誕生とともに始まり、生活や文化と深く結びついてきました。古代では移動手段として、近代ではスポーツや健康法として、現代ではライフスタイルの一部として広く親しまれています。
現在ではウォーキングイベントやアプリによる歩数管理が浸透し、さらに多様なスタイルで楽しめるようになっています。これからもウォーキングは、人々の健康と生活に欠かせない存在であり続けるでしょう。

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